アイネットは2011年2月1日、情報漏洩やデータの消失に配慮した企業向けのオンラインストレージサービスを始める。サービス名は「Cloudstor(クラウドストア)」。大規模分散データ処理基盤「Hadoop」を使ったファイルサーバー群や、米系オンラインストレージ技術ベンダーのプロクシュア・アジアからOEM供給を受ける端末用ソフトを組み合わせて構成する。
アイネットの「Cloudstor」は、個々の利用者がパソコンで作成したプレゼンテーション資料などをデータセンター内のファイルサーバーに自動で保管しておき、訪問先からスマートフォンで閲覧するといった使い方が可能。閲覧時にはサーバーから端末側にファイルを取り込むが、閲覧終了後に自動で端末側のファイルを消去するので「セキュリティリスクを小さくできる」(田口勉常務取締役)という。
SANやNASを利用した一般的な企業向けストレージサービスよりも料金を低くするため、Cloudstorではコア数が2個のプロセサや容量3TBのディスク装置を搭載した比較的安価な機器をファイルサーバーに用いている。ただし、Hadoopの技術によって1つのファイルを3台のサーバーに分散保管することで、仮に2台のサーバーが同時に故障してもデータが消えないようにした。
アイネットは同社のクラウド型サービス「VAiOS」の新メニューとしてCloudstorを提供する。利用可能な端末は、WindowsやMacOSを搭載したPC、iPhone、iPad、Androidデバイス。料金は1ユーザーあたり月額2400円で、別途、使用するストレージ容量に応じて1GBあたり月額20円〜がかかる。
求めがあれば、ユーザー企業が自社のデータセンターに設備一式を設置するオンプレミス型の販売にも応じる。アイネットは今後3年間で、直販と代理店の販売チャネルを通じて約1000社、8万2000ユーザーを獲得し、20億円の売り上げを目指す。 (栗原)