2012年7月の主要ベンダーの主だった発表を紹介する。
NEC
大型メインフレームを発表、約10年ぶりに自社製プロセサ採用
NECは2012年6月28日、メインフレーム「ACOSシリーズ」の大型機「i-PX9800/A100」を発表した。自社製プロセサ「NOAH-6」を採用し、現行機に比べてプロセサ性能を3.5倍に高めた。NECが自社製プロセサ搭載の大型機を発表するのは、「NOAH-5」を載せた4世代前の「i-PX7800」以来、約10年ぶり。現行機「i-PX9000/A300」までの3世代は、インテル製の「Itanium」を使ってきた。
NOAH-6は4つの演算コアや2次キャッシュを1チップに実装する。4個のプロセサと2つの制御回路、2次キャッシュで構成していたNOAH-5の演算モジュールに比べ、74分の1に小型化すると共に消費電力を5分の1に低減した。プロセサの低消費電力化に加え、高効率電源などを採用することにより、システム全体の消費電力を現行機種比で最大60%削減できたという。
ディスクアレイなど周辺デバイスとの入出力インタフェースも強化。周辺デバイスと接続するチャネルの本数を従来の128本から512本へと4倍に増やすと同時に、データ転送速度を毎秒4ギガビットから8ギガビットへ2倍に高めた。
OSは新版の「ACOS-4/XA」を搭載する。通信処理の並列度を高めたほか、NEC製ストレージサーバーを用いたファイルのバックアップ時の重複排除の効率を向上した。これにより、大量の更新データを短時間でストレージに転送したり、遠隔地にバックアップファイルを転送する際の通信コスト削減が期待できる。
演算コアが2つの最下位モデル「A112」から32コアの最上位モデル「A1WY」まで25種類を用意した。レンタル価格は、ストレージや仮想テープストレージなどの周辺デバイスとOSを含む最小構成で月額950万円(税別)から。9月28日に出荷を始める。(栗原)
SAPジャパン
ツイッターや2ちゃんなど110億件の日本コンテンツから評判を分析
SAPジャパンは2012年7月10日、ソーシャルメディアから発信された情報を分析するクラウドサービスを発表した。「ツイッター」や「フェイスブック」などで日々交わされる約9500万件の情報を分析することで、自社の商品/サービスに対する世界中の消費者の評判を把握したり、競合他社に関する情報と比較できるようになるという。
新サービスの名称は「SAP Social Media Analytics by NetBase」である。米ネットベースが開発したクラウドサービスをSAPブランドで再販する。各種言語で発信されるソーシャルメディアの情報を自然言語解析したうえで過去1年分をデータベースに蓄積しており、日本語や英語、ドイツ語、スペイン語など7カ国語で分析可能。日本のコンテンツだけでも、ツイッターで発信された29億件や「2ちゃんねる」でやり取りされた約1億5000万件、「アメーバブログ」の約2450万件を含む、合計110億件の情報を対象に分析できる。
料金はユーザー数と分析に用いるトピック数による変動制で、3カ月間で58万9950円から。トピックの内容は何度でも変えられる。 (栗原)
NTTコミュニケーションズ
アマゾン対抗うたう低価格クラウドが国内DCでの運用を開始
NTTコミュニケーションズは2012年6月27日、「Bizホスティング Cloudn」の国内データセンターでの運用を開始した。Cloudnは、同社が2012年3月から提供しているパブリッククラウドサービス。これまで、米国に設置したDCからのみ提供していた。今回のDC追加により、国内からのユーザー企業は、より低遅延で利用できるようになる。仮想マシン1台あたりの利用料金は日米DCに共通で、1時間当たり1.995円。月額の上限は945円。
オプションサービス2種も提供開始した。「Cloudn CDN」は国内外の主要都市に置いた同社のサーバーにコンテンツをキャッシュすることにより、高速配信を可能にするサービス。月額利用料金は、サーバーからの配信量が200GBまでで1575円(200GB以降は従量課金で1GBあたり月額12.6円)。
もう1つは「Cloudnハイブリッドオプション」。同社のプライベートクラウドサービス「Bizホスティング Enterprise Cloud」、およびCloudn上に構築した仮想マシンの構成情報や利用状況を一元管理するポータル機能を提供する。利用料金は月額5万2500円。(力竹)