[海外動向]

IBMが「Composable Business」を提唱、PaaS使ったビッグデータ活用を強調

IBM Impact2014レポート[前編]

2014年5月7日(水)田口 潤(IT Leaders編集部)

「ビジネスや事業に貢献するIT」――。ここに焦点を当てる米IBMの年次カンファレンス「Impact2014」が、2014年4月27日~5月1日(現地時間)に米ラスベガスで開催された。今年のテーマは「Be First!(1位になる!)」。そのためのキーワードが「Composable Business」であり、具体的な手段がPaaS(Platform as a Service)の「BlueMix」や「IBM Cloud Marketplace」である。基調講演を中心としたカンファレンスの内容は、ITの方向性を考えるうえで、示唆に富むものだった。まずはメッセージの像と基調講演初日の内容を紹介する。

 モバイル決済サービスの先駆的企業として知られる米Squareも登壇した。ソフトウェア部門ヘッドのMark Jen氏が、BlueMixを使って、小売店の決済サービス「HOMESTED」をその場でモバイル対応に変更して実行するデモを実施した。同氏は「Squareによる決済を実装するのは3行のプログラムを追加するだけで、とても簡単です。小売店におけるビジネスの流れを変えることを実感できるでしょう」と説明した。同社とIBMは、BlueMixを使ったSquareの展開で協業するという。

図6:独ダイムラーがIBMと組んで提供するcar2go。スマートフォーツーを使用し、“クラウドモビリティ”を提供する
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 最も時間を費やしたのは独ダイムラーが展開するカーシェアサービス「car2go」だ(図6)。携帯やモバイル機器で最寄りの場所にある車「スマートフォーツー=2人乗りの小型車」を見つけられ、利用後は乗り捨てが可能である。分単位に課金され、時間単位のレンタカーよりも合理的と言える。特に都市部に住む若者層に向けたサービスであり、2008年にドイツで、2010年に北米でそれぞれサービスインしている。

 car2go North AmericaのCEOであるNicholas Cole氏は、「ダイムラーは環境や資源への影響を考慮した電気自動車や燃料電池車を開発しています。それとは別に、ビジネスイノベーショングループを設置しています。自動車への需要増大に対して全く異なるアプローチとして開始したのがcar2goなのです。今では世界26カ国でサービスを提供しており、会員は70万人、対象車両は1万台に達しています。このサービスの鍵は、クラウドやモバイルなどITの進化です。IBMと協業で色々なことが可能になりました」と語った。

図7:car2goはモバイルとクラウドにより旅程作成アプリ「moovel」を提供
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 顧客エンゲージメントに向けた次世代のサービスも提供する。「『moovel』という旅程を作成するアプリを開発しました(図7)。A地点からB地点への移動をアドバイスするもので、自動車だけでなく、自転車やタクシーも考慮して移動手段をアドバイスします。一方でダイムラーは2020年に向けて、無人運転車の実用化を目指しています。車のある場所に行かなくても車が来てくれるのです。まさしくクラウドモビリティであり、car2goとしても、わくわくしています」(Cole氏)。

図8:米ベンチャーのEyeQはBlueMixの利点を側面から訴求
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 厳密には事例ではないが、リアル店舗にオンラインの仕掛けをコンサルティングする米EyeQのCEO、Michael Garel氏も登壇し、BlueMixを側面からアピールした(図8)。「カメラの画像やタッチスクリーン、デジタルサイネージ、モバイルを組み合わせ、リッチな顧客体験ができる環境を小売店に提案・コンサルティングしています。小さな企業なのでサーバーを保有して開発したりコンサルティングしたりはできません。しかしBlueMixがあります。当社の開発者はプロダクト開発に専念できるんです」。

 1日目の基調講演は、こうしたラインアップで幕を閉じた。2日目の基調講演の内容は、後編で説明する。

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