パイオニアは2014年9月4日、米トレジャーデータと自動車業界向けのビッグデータ関連事業において業務提携を行うと発表した。提携により、パイオニアは、同社が展開中の自動車向けクラウド基盤上のビッグデータ活用において、トレジャーデータのクラウド型データマネジメント技術を採用し、新しいテレマティクスサービスの提供を目指す構えだ。
パイオニアは2006年に、プローブ情報(自動車の走行履歴や各種のセンサーデータなど)を活用した独自のネットワークシステム「スマートループ」を開発するなど、業界に先駆けて自動車分野でのビッグデータの活用を進めてきた。また2013年には、自動車向けクラウド基盤「モバイルテレマティクスセンター」を構築し、スマートフォン向けにもクラウド型ナビゲーションサービスを開始したほか、車載機のみならず、スマートフォンから得られる膨大なデータの解析処理による高精度なプローブ渋滞情報の提供を開始している。
トレジャーデータは、日本人技術者が中心になって2011年12月に設立されたシリコンバレーの企業。大容量・多種のデータをリアルタイムで収集・保管・分析するクラウド型データマネジメントサービス(DMS)「トレジャーデータサービス」を提供する。同社は事業開始以来、主にデジタルマーケティング・広告業界やオンラインゲーム業界の企業向けに導入を進めてきたが、2013年より製造業を中心に、さまざまなモノから発するセンサーデータの分野(IoT)への応用を強化したところである(参考記事「インタビュー 業種別ソリューションとIoTに注力、トレジャーデータ Founder&CEO 芳川裕誠氏」)。
今回の提携により、パイオニアはトレジャーデータの技術を活用して、収集・蓄積された自動車関連の各種データを短時間で効率的に分析できるようになるとしている。一方のトレジャーデータは、テレマティクス分野を牽引するパイオニアから、自動車関連ビッグデータに関するノウハウを得ることで、今後の事業展開に活用していくことを表明している。
具体的な取り組みとして、両社は2015年内をめどに、解析したデータに基づくさまざまな情報を、自動車関連事業者の用途に応じて配信するクラウドソリューションを提供していく予定。同ソリューションにより、自動車関連事業者は、自動車の状態に応じたメンテナンスの案内や、きめ細やかなアフターサポート情報の提供など、ユーザーのカーライフの利便性を向上させるテレマティクスサービスの提供が可能になる。