前々回、前回と、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)と、ものづくりにおけるICTの応用について考えてきた。今回は、そうした動きを支えるクラウドそのものに関するトピックスを基に、クラウドが今後、どのように変化していくのかを考えてみたい。
2015年5月、クラウドのセキュリティを考える業界団体である米CSA(Cloud Security Alliance)が開いたカンファレンス「CSA Japan Summit 2015」において、CSAのファウンダーでありCEOのJim Reavis氏は『Cloud Today、Cloud Tomorrow』と題した講演で、2020年のクラウドを取り巻く環境を次のように予測した。
「2020年には、最先端の企業は業務のすべてをクラウドで実現しており、主要な企業でもクラウドが主流を占めていると予測される。すなわち“Cloud First”から“Cloud Native”への移行が進み、クラウドが企業インフラのベースとして定着している」
同時に、そうした環境においては、パブリッククラウドやBYOD(Bring Your Own Device:私物デバイスの業務利用)の活用で大多数のエンドポイントが企業のコントロール外になり、セキュリティ面での脆弱性が問題になることも指摘している。これに対する対策として同カンファレンスでは、「仮想プライベートクラウドの検討が進んでいる」との報告もあった。
仮想プライベートクラウドとは、ちょうどVPN(Virtual Private Network:仮想私設網)が一般に共有されているネットワーク内に、仮想的な占有ネットワークを構築するように、パブリッククラウド内に認証と複数レベルの暗号化を使うことで仮想的に占有するクラウドである。
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