米Salesforce.comは2015年9月14日(米国時間)、同社にとって7つめのクラウドプラットフォームになる「Salesforce IoT Cloud」を発表した。15日から米サンフランシスコで開催する同社の年次プライベートカンファレンス「Dreamforce 2015」に向けたリリースだ。これで、同社はIoT(Internet of Things:モノのインターネット)市場への本格参入を表明したことになる。
米Salesforce.comの「IoT Cloud」の特徴は、同社の独自技術であるリアルタイムなイベントプロセッシングエンジン「Salesforce Thunder」をベースに開発されていること。ここ数年、同社の新サービスは、買収した企業の技術をベースにしているケースが多かった。今回のIoT CloudではThunderでの開発にこだわっている(写真1)。
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Thunderは、SalesforceのPaaS(Platform as a Service)である「Heroku」のほか、「Spark」「Storm」「Kafka」といったThe Apache Foundation下のOSS(Open Source Software)プロダクトをベースにしている。これらの採用技術を見れば、Thunderがリアルタイムなデータ処理にフォーカスしていることが分かる(写真2)。
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IoTでは、膨大な数のデバイスやセンサーが生成するデータを扱うため、それらが流入してくるプラットフォームには、増え続けるデータ量に耐えられるスケーラビリティとストリーミングデータをリアルタイムに処理する能力が求められる。Salesforce プラットフォーム部門のエグゼクティブバイスプレジデントであるTod Nielsen(トッド・ニールセン)氏は、「Thunderは、それを可能にする技術だ」とし、次のように説明する。
「数十億にも上るデバイスやセンサー、ビーコン、さらにはソーシャルメディアによって生成されるデータは膨大であり、その中から最適な解(インサイト)を見つけ出すのは、従来は“Needle in the haystack(わらの中にある1本の針)”を探すような作業だった。それではIoT時代は乗りきれない。ストリームデータを扱うことに長けているだけでもだめで、デバイスの背後にいる1人ひとりのカスタマーを表すデータともつながらなければならない」