接点活用の成功事例~モバイル企画における成功のアプローチ
2015年10月21日(水)加藤 克則(アビームコンサルティング) 佐藤 雅之(アビームコンサルティング)
前回は、「サービスデスクの重要性」と題して、IT部門が持つ既存接点であるサービスデスクが「ビジネス貢献できる企画のタネ」をどのように集め、活用するかを解説した。サービスデスクが、ユーザー部門からの相談事を効果的に収集し、IT企画を生み出す役割を担う重要性をご理解いただけただろう。今回は業務部門へのモバイル導入事例を通じて、IT部門がどのように企画を立案し、プロジェクトを推進すべきかを、コミュニケーションに関わる成功要因や効果を交えて具体的に解説する。
「IT部門は、モバイルなどのデジタルデバイスの活用や、クラウドソリューションの業務への導入など、先端技術に関する情報を持っており、後は“企画のタネ”を手に入れればビジネスに貢献できる」と考える方がいるかもしれない。しかし、そこには陥りがちな罠が存在する。
例えば、モバイル活用で業務を高度化する施策を検討する際、どうしても“モバイルありき”の考えに囚われがちだ。だが、本来は「何を達成するのか」が重要であり、あくまでモバイル機器は単なる道具である。つまり、先端技術を活用することだけを考えるのではなく、IT部門が業務部門と目的・成果・ゴールを共有し、議論し、施策を考えることで初めて、効果的に先端技術の業務活用を実現することができる。
ここをしっかりと理解した上でIT化案件を成功に導いた事例として紹介するのは、日本を代表するグローバル企業のIT部門の取り組みだ。その企業グループでは、コンシューマ向け製品の製造から販売までを手がけている。各部門やグループ各社をまとめ上げ、グループ統一のモバイル統合基盤を構築すると共に、エンタープライズモバイルシステムをリリースして、ワークスタイル変革を実現・浸透・定着させた。本連載の第2回「あなたが今、踏み出すべき一歩を考える」でIT部門のコミュニケーション強化に向けたステップアップ法を説明したが、その中の「Level.4 チーム型」を実践したIT部門が主人公である。では、プロジェクトを成功させたアプローチや要因を具体的に紹介していこう。
企画をまとめるIT部門のアプローチ
この企業のIT部門には、本社を含めたグループ各社からIT予算の承認を得るため、様々なシステム化の企画案が持ち込まれていた。
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