前回は、「クラウド」「モバイル」「ビックデータ」などを活用し、競争優位や成長をもたらす「攻めのIT」を推進するIT部門に生まれ変わるために必要な考え方を紹介した。キーワードは『接点強化』と『全体俯瞰』だ。今回は、『接点強化』について、グローバルでIT基盤を整え、先進的な取り組みを実施している大手メーカーの事例を基に、IT部門から見た顧客(ユーザー部門/経営層)とのコミュニケーション強化策を具体的に説明したい。
ユーザー部門・経営層とのコミュニケーションレベルの定義
あなたの会社のIT部門は、ユーザー部門や経営層と十分にコミュニケーションがとれているだろうか? 自信をもって「十分にコミュニケーションがとれている」と言い切れるIT部門は少ないのが実情だ。
ITを活用して売上拡大や新サービスの創出をしていくには、ユーザー部門は日々の業務を変革し、経営層はビジネスモデルの転換を決断・支援することが必要不可欠である。IT部門がユーザー部門や経営層を巻き込み一体となって活動するためには、IT部門のメンバーが考えている以上にユーザー部門や経営層との「コミュニケーション」が鍵となる。
IT部門の顧客(ユーザー部門・経営層)とのコミュニケーションレベルを5段階で示したのが下の図だ。IT部門は、『接点強化』、すなわち、「コミュニケーションレベルの向上」を図っていく必要がある。
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- レベル1【受け身】…IT部門は、障害やサービス要求などのインシデントなど、すべてユーザー部門から連絡を受けて対応する状況
- レベル2【御用聞き】…IT部門が自ら現場を回って、課題や要望を積極的に集めてくる状況
- レベル3【提案型】…IT部門がビジネス課題を主体的に見つけ、解決策を提案している状況
- レベル4【チーム型】…IT部門とユーザー部門が一体となり、ビジネス課題を解決している状況
- レベル5【ビジネスリード】…経営層やユーザー部門(現場)を巻き込んで、ビジネスモデルの転換・創出を推進している状況
次のステージに向かうためのアプローチ
では、コミュニケーションレベル別にその課題と、次のステージに向かうために必要な意識や行動をみていこう。
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