「CIO賢人倶楽部」は、企業における情報システムの取り込みの重要性に鑑みて、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)同士の意見交換や知見を共有し相互に支援しているコミュニティです。IT Leadersは、その趣旨に賛同し、オブザーバとして参加しています。同倶楽部のメンバーによるリレーコラムの転載許可をいただきました。順次、ご紹介していきます。今回は、大和ハウス工業 執行役員 情報システム部長である加藤 恭滋 氏のオピニオンです。
企業の持続的な成長・発展をICT技術で支える、あるいは牽引する−−。情報システム部門の存在目的です。当然のことと言えますが、変化の激しい今日の社会・経済環境の中で、本当に実践できているでしょうか。ICTに関わるどんな活動が、企業の競争優位性の確立や強い企業に繋がるのでしょうか。筆者は最近、このようなことをよく考えます。
プロジェクト企画に際しても同じです。「この対応策(戦術)は、最終目的(戦略)に結びついていますか?」「戦術と戦略を取り違えていませんか?」。このような問いかけを常にプロジェクトメンバーにするよう心がけています。
さて、この話が本コラムのタイトルである「持たないIT」と、どう結びつくのでしょうか?弊社のクラウド対応についての目的の変化を考察・紹介しながら、紐解きをしたいと思います。筆者が所属する大和ハウス工業はグループ会社を除き、2014年12月にすべてのシステムをクラウド環境に移管しました。その活動を振り返ると、クラウドに移管する目的がプロジェクトの推進とともに変化していることに気づいたからです。
話はクラウドという言葉が登場して間もない2006年頃に遡ります。当時、情報共有サーバーのリプレースプロジェクトにおいて将来増加する情報量を見積もれず、次のリプレース時期まで大丈夫なシステム規模を算出できない問題に直面しました。解決策として考えたのが、必要に応じてシステムの増強を行うオンデマンド型のサービスです。複数のベンダーに打診した結果、現在のSCSKから「やる」という提案をいただきました。
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