[オピニオン from CIO賢人倶楽部]

コロナ禍での働き方改革、「コーポレートトランスフォーメーション」が必須に

アスクル CHO 人事総務本部長 秋岡洋平氏

2021年7月8日(木)CIO賢人倶楽部

「CIO賢人倶楽部」は、企業における情報システム/IT部門の役割となすべき課題解決に向けて、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)同士の意見交換や知見共有を促し支援するユーザーコミュニティである。IT Leadersはその趣旨に賛同し、オブザーバーとして参加している。本連載では、同倶楽部で発信しているメンバーのリレーコラムを転載してお届けしている。今回は、アスクル CHO 人事総務本部長 秋岡洋平氏によるオピニオンである。

 2020年3月に長年担当してきたテクノロジーおよびカスタマーサービスの担当から人事総務の担当になり、コロナ禍の中であっという間に1年が過ぎました。振り返りと共に、これからやるべきことも含めて、自分自身の整理の意味を込めまして投稿させていただきます。

コロナ禍での働き方改革

 言葉を選ばずに話してしまうと、コロナ禍だったがゆえに、働き方改革は非常にやりやすい状況でした。皆様の職場でもおそらく同じ状況だと推察しますが、感染リスクと防疫という共通課題があったことから、フルリモート勤務やフルフレックスの実施、定期代からリモート手当への変更、本社のフリーアドレス化など、さまざまな施策を一気に進めることができました。

 半面、課題も鮮明になりました。残業が明らかに増えていること、会議以外のコミュニケーション不足からの会社に対する帰属意識の低下、孤立からくるメンタルヘルス不調の増加などです。今後は社員の会社へのエンゲージメントレベルを引き上げること、その前提としてエンゲージメントレベルの可視化やメンタルヘルスケアの充実が必須になります。

 エンゲージメントの可視化では、例えば従業員満足度調査の形式を改める必要があります。従前は、おおまかには満足度が低い要因を調べるいわば“犯人探し”でした。それを社員一人一人が会社に対してどのぐらいのエンゲージメントを持っているのかを測るように切り替えるのが1つです。

 メンタルヘルスについては、産業医や保健師へ直接相談するのは心理的にハードルが高い側面があります。そこで匿名のチャットで相談できるようにするなど、ハードルを下げることが大事だと考えています。もちろんすぐできる施策として上司や部下、同僚との公式/非公式のコミュニケーションをしっかりと定着化させていくことを実施していきます。

リモートワークの常態化により、多くの企業で従業員のエンゲージメントとメンタルヘルスが大きな課題になっている

パーパス&バリューズの制定

 一方で、より包摂的な取り組みも必要です。アスクルは創業以来、「お客様のために進化する」という企業理念を掲げ、社員への浸透を図ってきました。半面、あまりにこの理念が強いことから、「これさえやっていればよい」とか、「進化とは手段で企業のあるべき姿を現していない」などの意見が多数ありました。

 3年前、電撃的に創業CEOが交代し、ちょうど新たな会社の進むべき方向、存在意義をしっかりと社員に指し示す必要があるタイミングでもありましたので、第二創業の意味合いも含めて「パーパス&バリューズ」を制定しました。当社らしさを打ち出しながら、だれもが理解できる言葉にするのはなかなか難しかったですが、下記の言葉にまとまりました。社員一人一人が自分事として理解し、行動変容するまでが大変な道のりですが、長い目で地道にやっていこうと思います。

パーパス :仕事場とくらしと地球の明日に「うれしい」と届け続ける
バリューズ:変革と最速、多様性と共創、誠実と誇り

●Next:停滞感からの脱却、DXとコーポレートトランスフォーメーション

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