「CIO賢人倶楽部」は、企業における情報システム/IT部門の役割となすべき課題解決に向けて、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)同士の意見交換や知見共有を促し支援するユーザーコミュニティである。IT Leadersはその趣旨に賛同し、オブザーバーとして参加している。本連載では、同倶楽部で発信しているメンバーのリレーコラムを転載してお届けしている。今回は、クールスプリングス 代表の三枝幸夫氏によるオピニオンである。
“DX周回遅れ”などと言われている日本は、どうやって挽回すればよいのだろうか? 特に問題なのはDXのXである。例えば、情報処理推進機構(IPA)の「DX白書2023」のサブタイトルは、「進み始めた『デジタル』、進まない『トランスフォーメーション』」なのだ。なぜ「トランスフォーメーション」が進まないのか、どうすれば進むのか。筆者なりに考えてみた。
まずは状況を確認してみよう。失われた30年の間に、世界の企業時価総額ランキングから日本企業は姿を消した。米国のテック企業が席巻し、年間生産台数120万台のテスラ(Tesla)の時価総額は同1000万台のトヨタ自動車の4倍以上となっている。おまけに、“進み始めたデジタル”で日本が使うお金は海外に流れ、日本のデジタル赤字は4.7兆円(2022年)に達する。2023年はもっと増えているだろう。
そんな日本企業の多くは「3大疾病を患っている」と言われる。経営学者の野中郁次郎氏が指摘したもので、①過剰分析、②過剰計画、③過剰コンプライアンスの3つの疾病である。企業の主力であるはずのミドル層が経営層から来るこれらへの対応を捌くのに精一杯で疲弊してしまい、新しい価値創造や顧客価値向上に取り組む余裕がないという。筆者も企業勤めを経験した中で大いに同感する。
つまり、徹底的に分析して間違いない計画を緻密に作り上げ、法令・労務・ハラスメント・安全・防災・品質・環境・差別や児童労働問題がないかなど、多岐にわたる整合性を確認しないとコトを進められない──そんな心(マインド)の疾病に罹患してしまっているのだ。
そうなると、どうしても今までの延長線上で種々確認済みで、確実に成果を出せる行動になってしまう。DXのテーマもコストや品質改善、生産性改善などの内向きな活動になり、デジタル化は進めてもトランスフォーメーションには至らない。米国など海外企業が新事業創造や顧客体験の向上、事業モデルの改革など、価値創造に重きを置いているのとは、大きな違いである。話題の生成AIの使い方でも同じ傾向だ。
では、どうやって3大疾病を治療して、価値創造につながるトランスフォーメーションを起こせばよいのだろうか?よく指摘されるのは「完璧主義を止める」、「外部人材に入れ替える」「別動隊を追加する」などだが、どれもこれも疑問符がつく。
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