矢野経済研究所は2024年2月14日、国内のビジネスチャットツール市場の調査結果を発表した。2022年度の同市場の事業者売上高は、前年度比129.7%の330億5500万円に達している。2023年度はコロナ禍による需要の先取りの反動で成長率は鈍化するとし、前年度比109.9%の363億3000万円と見積もっている。
矢野経済研究所は、国内のビジネスチャットツール市場の調査結果を発表した。2022年度の同市場の事業者売上高は、前年度比129.7%の330億5500万円に達している。2023年度はコロナ禍による需要の先取りの反動で成長率は鈍化するとし、前年度比109.9%の363億3000万円と見積もっている(図1)。
注目点として、オフィスワーカー向けと現場ワーカー向けの双方で導入が進んだことを挙げる。「ビジネスチャットツールはオフィスの業務従事者(オフィスワーカー)を中心に広がってきたが、コロナ禍を契機に販売、物流、医療など現場で働くワーカーにも浸透し始めている」(矢野経済研究所)。
コロナ禍以前の働き方改革に加えて、コロナ禍に伴うテレワークの主な実施対象は、オフィスワーカーが中心だったと同社は指摘。勤務形態が在宅勤務に切り替わる中でビジネスチャットツールが広がってきたが、コロナ禍が落ち着き、在宅勤務から出社に戻る企業も出てきている。
一方、現場で働くワーカーの場合、在宅勤務が難しく、チャットツールの利用メリットが見当たらないとされてきたが、ここにきて、オフィスワーカーの主な利用用途であるコミュニケーションツールではなく、業務効率化ツールとして現場での導入が始まっているという。
「現状、現場ワーカーを完全には取り込めていないが、現場ワーカーを含めて従業員全体のコミュニケーションを最適化する目的で、業務効率化や業務の自動化を図っていく取り組みが見られる」(同社)。コロナ禍のような一時的な高成長率は見込めないものの、継続的な成長が見込まれるという。
こうした状況から同社は、ビジネスチャットツール市場規模は、2024年度で395億2000万円、2026年度には437億5000万円、2027年度には454億5000万円と成長を続けると予測している。