筆者がラオスに興味を持ったきっかけは、数カ月前の新聞記事だった。ニコンがデジタル一眼レフカメラの生産工場を、ラオスの南部サバナケットに建設するという。製造業の東南アジア進出は目覚ましく、人件費の安さと拡大するアジア市場の魅力が生産拠点を急速に移転させている。
タイ、ベトナムに続いてカンボジアや民主化が進むミャンマーなど、後発国の話題も豊富だ。しかしラオスの話はほとんど聞かないし、周囲にも行ったことのある人がいない。ネット上の情報も少なく、旅行ガイドも「地球の歩き方」くらいしかない。CLM(カンボジア、ラオス、ミャンマー)と呼ばれる最貧国(国連が指定する後発開発途上国)の中でも、最も情報が少ないのがラオスではないかと思う。
そんな未知の国に興味がわき、スケジュールをやり繰りして一週間ほど出かけることにした。治安やインフラの様子がよくわからないので、多少の不安を抱えながらの出発だった。
予想とは違ったラオスの実態
出発直前にたまたまだが、息子のネット友達がビエンチャンにいることがわかった。最高学府のラオス国立大学のビエンチャン校を卒業し、英語が話せて日本語も勉強中だそうだ。そのネット友達が現地の案内と、ラオス到着翌日に行われる親族の結婚式にも招待してくれるという。ラオスの文化を知るうえで千載一遇のチャンスだ。
ハノイでの3時間半の乗換待ちを経てビエンチャンに着いた。ワッタイ国際空港には息子の友達と、頼んでおいたホテルの車が迎えに来てくれた。夕刻のビエンチャン市内には高層ビルが見当たらない。せいぜい10階建てくらいで、他のアジアの都市とは風景が違っていた。
街中は信号が少なく、アジアらしく自動二輪車が多いが、ベトナムのような無茶な走行をする者はいない。タイのようにトゥクトゥク(三輪タクシー)が時々走ってくるが、行き交う車は新しいものも多く、整然と流れている。街もごみの散乱などはなく整備されて清潔感がある。治安もほかの東南アジア諸国より良い感じだ。いろいろな面で予想を大きく覆された。
翌日は招待された結婚式に参加。親族だけという話だったが、夜の披露宴には800人も集まり(ラオスでは普通の規模だそうだ)、明らかに異国人と分かる筆者も違和感なく迎え入れてくれた。同席の人達は実にフレンドリで、ラオス人の豊かな人柄がリアルに伝わってきた。驚かされたのが、多くの人がタブレットで写真を撮っていたこと。最貧国とか後高開発途上国と言われていても、IT は確実に浸透しているのだ。
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