モバイルの業務活用が本格化するのに合わせて、ベンダー各社は、それを支えるさまざまな製品・サービスを市場投入している。今、モバイル戦略を考える上で押さえておきたい製品・サービスをまとめた。
業務プロセスの改革や、顧客接点の創出など、スマートデバイスの業務利用を高度化させるには、業務システムとの連携や、独自アプリの開発が避けて通れない。システム間の連携、品質の確保、セキュリティの維持、多様なデバイスのサポート、脆弱性のチェックなど、クリアすべきハードルはいくつもある。リリース後も、アプリの使用状況をチェックして、継続的に機能改善していく必要がある。これらの課題をクリアするため、ベンダー各社はモバイル活用に関連するツールを徐々に充実させている。以下、主要な製品ジャンルを紹介する。
BaaS(Backend as a Service)
モバイルアプリといえば、デバイス側のプログラムをイメージしがち。しかし、アプリと同じくらい重要なのが、バックエンドサーバーである。アプリの背後で、データやファイルの保管、ユーザーの管理、プッシュ通知、他システムとの連携といった機能を担う。端末間でデータ共有したり、ユーザー間で交流したりするアプリを作るには欠かせない存在である。
バックエンドサーバーの構築は、アプリと同じくらい時間も手間もかかる。サーバーやストレージを準備し、データベースやWebサーバーを導入し、ユーザー管理や、データ同期のプログラムを開発する必要がある。アプリとのインタフェースや、セキュリティ、スケーラビリティも考慮しなければならない。こうした作業の負担を軽減するのが「BaaS (Backend as a Service)」である。MBaaS(Mobile Backend as a Service)と呼ぶこともある。
BaaSは、バックエンド機能を提供するクラウドサービス。データベースやストレージ、ユーザー管理、メッセージング、利用分析といった機能を提供する(表X)。アプリはこれらの機能をAPIやSDKを使って呼び出す。インフラを調達したり、コードを書いたりする必要はない。その分、開発者は競争力の源泉であるアプリに注力できる。
「Kinvey」「Sencha.io」「FeedHenry」「appiaries」といった主要サービスをはじめ、多数の事業者がひしめく。大手ベンダーの参入も相次ぐ。Microsoftは2012年9月、Windows AzureをBaaSとして活用する「Mobile Services」機能を追加。2013年6月には、GoogleもGoogle App EngineをBaaS化する「Mobile Backend Starter」をリリースした。
IBMも企業向けBaaSを展開する計画だ。2014年2月に買収した「Cloudant」は、データベースをクラウドサービスとして提供するDBaaS(Database as a Service)ベンダー。同社が持つクラウドベースのNoSQLデータベースを、PaaS「BlueMix」と組み合わせて、モバイルアプリのバックエンドサーバーを提供する。
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