マーケティング活動を取り巻く環境は、ここ数年、目まぐるしい勢いで変化しています。デジタル時代に効果的なマーケティング施策を立案・実行するための基礎となるマーケティングテクノロジーを解説する本連載。ここまで、消費者を取り巻く環境の変化や、マルチチャネル、パーソナライゼーション、ソーシャルといったポイントを取り上げてきました。最終回となる今回は、これらのテクノロジーを顧客のために活用するうえで欠かせない“統合”について見ていきましょう。
本連載で解説してきたように、現代の顧客は、身近なデジタルテクノロジーを使い、自らが情報を取捨選択する行動が当たり前になりました。こうした時代にあっても、製品やサービスが顧客に選ばれる存在であるためには、企業側もデジタルテクノロジーを機動的に活用し、顧客中心のマーケティング戦略と活動を展開しなければなりません。
市場や顧客に直接的な価値を産まないITはもう認められない
日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)が毎年実施している「企業IT動向調査」の2014年版によると、「IT投資で解決したい中期的な経営課題」のトップ3は「業務プロセスの効率化」「迅速な業績把握、情報把握」「営業力の強化」です。社内業務の無駄を省き、経営状況を見える化し、営業現場の効率化を促すことが、経営戦略への貢献だと考えられているのでしょう。
そのためのドライバーに相当する「イノベーション促進を期待しているキーワード」に目を移すと、「経営ダッシュボード」「社内SNS」「マスターデータ管理」がトップ3に挙がっています。しかし、こうした結果を目にした事業部門にすれば、「我が社のIT部門は大丈夫だろうか?」ときっと不安になるのではないでしょうか。
確かに、ITによる社内の生産性向上がビジネス全体の効率化に大きな役割を果たした時代がありました。クラウドが普及した今日でも、所有形態の違いを除けば、ITインフラの大切さは変わりません。しかし現在の問題は、内向きの投資だけでは頭打ちだということです。市場や顧客に対して直接的な付加価値を産まなければ、さらなるITの価値は到底、認められないからです。
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