2017年2月の3本:NECと日本オラクルがクラウド分野で戦略的提携/クラウドERPの利用動向をガートナーが発表/IPAなど10団体が中小企業の情報セキュリティ対策を支援
2017年3月7日(火)松岡 功(ジャーナリスト)
2017年2月のニュースから松岡功が選んだのは、「NECと日本オラクルがクラウド分野で戦略的提携」「クラウドERPの利用動向をガートナーが発表」「IPAなど10団体が中小企業の情報セキュリティ対策を支援」の3本である。“見逃せない”理由と共に、それぞれのニュースのポイントをお伝えする。
NECと日本オラクルがクラウド分野で戦略的提携
NECと日本オラクルは2017年2月14日、クラウド分野で戦略的提携を結ぶことで合意したと発表した。オラクルのクラウドサービス「Oracle Cloud」をNECの国内データセンターから提供するとともに、Oracle CloudとNECの業務ソリューションとの連携を図るのが、その骨子である(関連記事)。
具体的には、顧客やパートナーのデータセンターにOracle Cloud環境を構築するための「Oracle Cloud at Customer」をNECの国内データセンターに設置し、同センターを通じてオラクルのクラウドサービスを顧客ごとに提供する。顧客のデータを保全しつつ、既存システムのクラウドへの円滑な移行を支援するという。NECは今回の提携で、マネージドサービスの一環として国内で初めてOracle Cloud at Customerの一次保守を提供する。
ちなみに、NECにおけるオラクル関連の対応システム数は年間3000件、保守契約システム数は1万5000システムで、いずれも国内最大級だという。
[選択理由]
国内でオラクル製品を利用するNECのユーザーは相当数に上るだけに、影響力の大きい提携と考えたからだ。
発表会に臨んだNECの橋谷直樹 執行役員は、「NECがこれまでオラクル製品を使ってシステムの構築やサポートを提供してきた顧客に対し、クラウドという選択肢を増やし、柔軟かつ最適なシステムの構築ニーズに応えていきたい」と説明。一方、日本オラクルの石積尚幸 執行役副社長は、「NECが持つシステム構築やサポートの能力とともに、全国の販売/サポート網によるクラウド活用を協力して促進していきたい」として、NECが持つ全国展開力への期待を示した(写真1)。
なおオラクルは2016年7月に富士通ともクラウド分野で戦略的提携を結んでいる。その内容も、オラクルのクラウドサービスを富士通の国内データセンターから提供するものだ。だが富士通との提携は、オラクルが実質的に日本で自らのデータセンター拠点を設けたとの意味合いがあり、米Oracleが富士通と提携した形になっている。加えて、今後の海外展開を見据えた協業とも見て取れる。
それぞれの提携内容に違いはあるものの、国内でクラウド事業を拡大したい日本オラクルにとっては、富士通およびNECという強力なパートナーシップを得た形になった。
クラウドERPの利用動向をガートナーが発表
ガートナージャパンは2017年2月6日、日本におけるクラウドERPの利用動向に関する調査結果を発表した。SaaSやIaaS上で稼働するERPといった形態別ではなく、「クラウドERP」としてイメージされるサービスについて回答を募っている。調査対象は、従業員数20人以上の一般企業、約2800社で、2016年5月に実施した。
同調査結果によると、現時点では企業の73.8%が「ERPはクラウドでは利用しない」と回答。ただし、その割合は5年後に24.8%、10年後には15.6%に減少する。一方で、「自社運用型ERPのほとんどをクラウドERPに置き換える」と回答した企業は、現時点の4.3%が10年後には28.0%に増える(図1)。
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