「クラウド」を無視し続けることこそが経営の最大のリスクとなる
2008年10月9日(木)CIO INSIGHT
SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)やPaaS(プラットホーム以下同)、さらにIaaS(インフラストラクチャ以下同)といったいわゆる「XaaS」はITの世界で勝ち組になる可能性を秘めているサービスであり、IT産業そのものの形態を大きく変換するかもしれない。(翻訳 : 古村 浩三)
3年前、病院の緊急医療部門や医師などのスタッフの管理・運営を行うシューマッハグループのCIO(最高情報責任者)に就任したダグラス・マネフィー氏は、彼のスタッフがアプリケーション開発や、システムのインフラをサポートするために費やしている時間の多さにすぐ気がつき、もっとましな方法があるはずだと思った。
CEO(最高経営責任者)の部屋に赴いたマネフィー氏は、「あなたはこの会社をソフトウェアの開発会社にしたいのか、それともソフトウェアを活用した先進の医療マネジメント会社にしたいのか?」という質問を投げかけた。
この質問がきっかけとなり、同社はクラウドコンピューティングというITの世界では新しいサービスに賭けてみることにしたのだ。すぐにセールスフォース・ドットコム社がクラウド形式で提供するオンデマンドのCRM(顧客関係管理)アプリケーションに契約。現在では、スタッフがかかわるビジネスプロセスのほぼ半分はクラウドで処理されているとマネフィー氏は概算する。「将来的にはどこにソフトが存在するかは問題ではなくなる」(マネフィー氏)。
多くのCIOは「自前のインフラ」にこだわっているが、その理由は単純なものだ。彼らは、クラウドはまだ重要な場面での使用に耐えないと思っているからである。
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