盤石なサポート体制を確立し、デスクトップ仮想化へスムーズに移行
2009年9月29日(火)CIO INSIGHT
SaaS/クラウドコンピューティングや仮想化など、最新の技術を社内の情報システムに積極的に導入する米国企業は多い。新しい技術ゆえ、成功のノウハウは乏しいが、それでも米国企業は試行錯誤しつつ、何とか成功させようと知恵を絞っている。一方、新技術が普及することで、今までになかった新たな課題への対処を迫られることもある。今号ではCIO INSIGHTから「デスクトップ仮想化」「ソーシャルメディア」という2つの新技術に関する記事を取り上げる。新技術に正面から向き合う米国企業の姿勢は、国内企業にとって参考になるはずだ。
運用管理の改善とコスト削減を狙い、デスクトップ仮想化に関心を寄せる企業が増えている。デスクトップ仮想化とは、データセンター内のサーバー上で仮想マシン(VM)を動かし、エンドユーザーがネットワークを介してそのクライアント環境を利用する仕組みだ。
こうした新しい方式への移行に際しては、クライアント端末を利用するエンドユーザーに相当な変更を強いることになる。IT戦略を統括する責任者がそのことを理解せずにデスクトップ仮想化の導入を進めると、大きな問題を招きかねない。
地域・長距離電話とインターネット接続サービスを提供する米電話会社のエンバークは、3000台に及ぶデスクトップPCの更新時期を控え、デスクトップ仮想化を使ったシンクライアント環境への移行を決断した。移行にあたって同社の経営幹部がもっとも重視したのは、エンドユーザーの利便性の確保だった。エンドユーザーがデスクトップ環境の変化に対応できるか、会社が十分なサポート体制を準備できるかなどをつぶさに検討した。
万全なサポート体制を整備し
利用者の移行負荷を低減
「最大の課題は、どこの部署から移行を始めるかを決定することだった」と、同社のインフラサービス担当バイスプレジデントであるバイロン・クライマー氏は振り返る。「ある日突然、『今使っているPCを取り上げます』と言ったら、エンドユーザーが反発するのは目に見えている。新技術をスムーズに導入するには、綿密な計画を注意深く実行しなくてはならない」とクライマー氏は指摘する。
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