[河原潤のITストリーム]

ビジネスプロセス革新への道のり(後編:渋滞原因と解消への糸口):第13回

2010年4月7日(水)河原 潤(IT Leaders編集部)

前回、ビジネスプロセス革新に対するCIOの意識が、世界全体と日本とでかなりの開きがあるとするガートナーのIT投資動向調査と、国内企業においてこの分野での取り組みの実施率が一向に上向かないことを示すITRのIT投資動向調査という2つの調査の結果を取り上げました。今回は、BPM(Business Process Management)やビジネスプロセスの可視化・最適化といった課題の前に立ちはだかるハードルと、そのハードルを乗り越えるには何をなすべきかについて考えてみたいと思います。

 前回、ビジネスプロセス革新に対するCIOの意識が、世界全体と日本とでかなりの開きがあるとするガートナーのIT投資動向調査と、国内企業においてこの分野での取り組みの実施率が一向に上向かないことを示すITRのIT投資動向調査という2つの調査の結果を取り上げました。今回は、BPM(Business Process Management)やビジネスプロセスの可視化・最適化といった課題の前に立ちはだかるハードルと、そのハードルを乗り越えるには何をなすべきかについて考えてみたいと思います。

 ITRの調査結果について、同社代表取締役/プリンシパル・アナリストの内山悟志氏は、同じく実施率がなかなか上向かない「マスターデータの統合」や「全社的なコンテンツ管理インフラの整備」と共通の難しさがあるとして、次のように分析、解説しています。

 「これらに共通しているのは、ある1つのテクノロジーを導入すれば解決できるようなテーマではないということ。また、IT部門だけでの閉じたイニシアチブで太刀打ちできるようなテーマではないということです。そこで技術面では、業務視点からカギとなるテクノロジーを複合的に適用していくことが求められます。組織体制面では、業務部門を巻き込んでの全社的なプロジェクトとして臨むべきでしょう」(内山氏)

 ビジネスプロセス革新の前提条件として、世界の先進企業のIT部門に大きな差をつけられているのは、主に、後者の組織体制面ではないでしょうか。国内企業のIT部門は欧米企業と比べて、経営や事業への主体的な関与が弱い傾向にあると言われます。ビジネスプロセス革新のような、まさに全社の業務に直結したテーマに挑むのであれば、IT部門は、「業務部門のIT支援に徹する」という従来型の役割にとどまらず、内山氏が指摘するような、全社を巻き込みながらビジネス上の課題解決を主導していく役割も果たしていく必要がありそうです。

 そのようなIT部門を目指すにあたって手本となるようなユーザー企業は、少数派とはいえ、もちろん国内にも存在します。ここでは、3月17日にCIO Magazineが主催した「CIO特別フォーラム」で紹介された日産自動車とカシオ計算機の事例から、ビジネスプロセス革新に向けた両社の取り組みのポイントを挙げてみます。

●Next:日産とカシオはビジネスプロセス変革にどう取り組んだのか

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