スウェーデンに夏休みシーズンがやってきた。人々や街の風景を見ていると、あちらこちらに待ち望んでいた夏の話題が溢れている。そんな中からいくつかを紹介しよう。
スウェーデンに住む人々が長い冬の間じっと待ち望んでいる夏の一大イベント、ミッドサマー(夏至祭)が終わり、いよいよ本格的な夏休みシーズンが到来した。好天となれば予定を変更し、寸暇を惜しんで屋外に繰り出すことも茶飯事のお国柄。IT関連のニュースを眺めていても、夏を感じさせるネタが目白押しだ。まずは、モバイルアプリの話題からお伝えしよう。
SMSでアイスクリームをプレゼント
スウェーデンは、世界有数のコーヒー消費国として知られる。渋みや苦みを好む傾向が強いのかと思いきや、実はアイスクリームの消費量も負けてはいない。初夏を迎える頃ともなれば、人気のアイスクリーム店には長蛇の列ができる。昼間から並んでいるのは決して学生や子供だけではなく、手にしたアイスクリームを食べながら歩くスーツ姿の会社員も珍しくない。お気に入りの店の新製品を味見したかどうかは、湖で初泳ぎしたかに並んで、夏を心待ちにしているスウェーデン国民の“お決まり”の話題なのだ。
そんな中、Android対応のアプリ「GB Glace Shop」がリリースされ、ちょっとした話題になっている。GB Glaceとは、スウェーデン国内で最大のアイスクリームメーカーだ。その販売数は、国内マーケットのおよそ半数を占めるほどの大手である。
どんなアプリかといえば、恋人や有人知人にアイスクリームをプレゼントできるというもの。画面には、約40種類の中から好みのものを選んだり、贈りたい相手にSMSメッセージを送信したりする機能が盛り込まれている。メッセージを受け取った人がサービス加盟店に持ち込むと、その場でアイスクリームを受け取ることができる(アプリのダウンロードは無料)。
加盟店がまだ限られていることや、メッセージが定型文のみ、スマートフォンのアドレス帳とシンクロできないなど、完成度はまだ決して高くはないが、そんなアプリが生まれること自体がいかにもスウェーデンのお国柄を表している気がする。
iPhoneアプリで天敵の蚊を回避
続いてもう1つ、夏にちなんだ話題のアプリを紹介しよう。陽の光を浴びながらのキャンプ、バーベキュー、サイクリング、海水浴などは当地でも人気のアクティビティだ。もっとも、気になるのは蚊などによる虫さされ。かゆみや腫れを忌み嫌うのは万国共通のようである。
ちょっと調べてみると、日本には100種類の蚊がいて、人を刺すのはおよそ30種類なんだとか。涼しげで虫が少ないと思われがちなスウェーデン国内だが、実は約48種もの蚊が生息し、流行病の原因にもなるとして“敵視”されている。
そんな背景にあって注目を集めているのが、蚊の分布状況を地図上で把握するアプリ。その名も、「Myggrapporten(Myggとは、スウェーデン語で蚊を意味する)」だ。
簡単に言えば、蚊の発生状況を知るためのソーシャルアプリである。ユーザーは自身で蚊の生息・発生状況のデータをサイトに登録できる一方、みんなが書き込んだデータを参照できるというもの。使用の際にはiPhone内蔵のGPSが機能し、位置情報と連動する。地図を拡大・縮小しながら、どんな場所に蚊が多いのかを視覚的に把握できるので、夏のキャンプの予定を立てる際に、悩ましい蚊の群れが少ない場所を選ぶといった用途に使える。ダウンロードは無料。蚊に弱い人は、すぐに試してみたいアプリではないだろうか。
電子カルテのトラブルが発覚
生活密着型の、ややユル~イ話題が続いたところで、今度は社会派のニュースを取り上げよう。またしても、電子カルテのトラブルが報道されたのだ。SYSteam社の電子カルテシステム「Cross」から、薬の誤った投与量が薬局(Apotek)へと送信されたという一件。医療過誤につながりかねない今回の事件は、住民の背筋をゾクっとさせた。
この問題が起きたのは、実は今年3月末のこと。しかしながら監督する当局に届出があったのは6月半ばのことで、調査に乗り出すまでに時間がかかってしまった。調査に当たったスウェーデン政府の医薬品管理局、メディカル・プロダクツ・エージェンシー(MPA)のアルフ・オーマン氏は、そもそもシステムの使いにくさが原因の1つと言及。現在わかっているだけでも、同システムがらみのトラブルは2件認識されている。処方箋の内容に、患者を危険にさらすことになる疑いが少しでもあれば迷わず届け出るよう同氏は注意を促している。
SYSteam社は現場対応を怠っていたわけではない。最初のトラブルが起きた3月21日の段階で、Crossシステムを導入している5つのランスティング(注)に報告。さらに、問題を回避する新バージョンをリリースした。真摯な態度は認められるが、いちどマーケットに与えた不信感を取り除くには、かなりの努力と時間を要すると見られる。
問題が露呈した発端は、いずれも病院スタッフが処方箋に疑問を抱いたことにあった。システム化やデータ連携で業務の効率化・スリム化を重視しがちな世の中だが、やはり人の知識、経験、判断力は欠かせない。患者の危機を未然に防止するという”ヒューマンスキル”が際立った好例といえよう。
注:ランスティング(州議会)は、医療サービスの責任を担い、ほぼ全ての医療サービスを提供する。(参照: http://itivarden.idg.se/ )

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