[製品サーベイ]
Androidタブレット向けアプリ比較─iPadに追随し業務アプリの選択肢広がる
2012年3月5日(月)折川 忠弘(IT Leaders編集部)
Androidを搭載するタブレット端末が多数登場する中、ビジネス用途のアプリケーションも出揃い始めた。特定業務に特化したものや社内システムとの連携を可能にするものなど、用途は多岐にわたる。提供開始を予定するものも含めて97製品をまとめた。
スマートデバイスを業務で活用する動きが広まっている。これまでの導入事例を見るとiPadを採用するケースが目立つものの、一方では「端末の選択肢が広い」、「アプリケーション展開に関わる統制がiPadより緩い」などの理由から、Android端末に関心を示す企業も着実に増えている。
ベンダー各社は今後のAndroid端末の業務利用を見据え、対応ソリューションの市場投入に乗り出し始めた。先行するiPad向けほどではないにしろ、実に多彩なアプリケーションが今、続々と市場に登場している。 業務での利用を想定したAndroid向けソリューションをまとめた(表)。特徴的なものを中心に見ていこう。
画像や動画を配信し効果的なプレゼンを支援
カタログなど自社商品に関する資料一式を端末に入れて持ち歩き、営業担当者がタブレットを使って顧客先でプレゼンする─。今、最も“旬な”用途に向けたアプリは数多く、中でも画像や動画を効果的に表示することで、コンテンツの品質を高めようと工夫するものが増えている。
エージェンテックの「ABook」は、PDF内に動画を埋め込む“編集機能”が売りだ。営業担当者はPDFを使って商品を説明しつつ、具体的な商品イメージを訴求する際には動画を再生することで顧客の理解度を高められる。シエロアスールの「SMASSh Cloud」は、2分割した画面にプレゼン資料と動画を同時表示するのが特徴的。資料だけでは分かりにくい内容を映像で補足することで、商品を分かりやすく説明できる。大容量データの高速配信に最適化したネットワークを採用し、ストレスなく動画を再生する。A1コミュニケーションズの「A1CIMS」は、大容量の動画/画像ファイルのサイズを最適化し、帯域の狭い3G回線でも端末に転送できるよう工夫を凝らす。
GPS活用で行動を把握
営業担当者や車両を遠隔管理
GPSや地図を活用し、外出先の営業担当者の業務を支援するアプリも増えている。日立ソリューションズの「スマートe-trasus」は、車両に設置してカーナビとして利用できるのに加え、CRM(顧客関係管理)システムと連携し、当日の訪問リストや過去の取引内容を端末からチェックできる。端末の画面サイズがiPadより小さい7インチモデルなどを選択できるAndroidタブレットならではの使い方と言えるかもしれない。
ナビッピドットコムの「DP2」やマルティスープの「iField」は、GPSを活用して営業担当者の行動履歴を把握。ルートの無駄を省いて移動時間を短縮したり、端末のカメラを用いて現場の状況を容易に報告したりすることを可能にする。
社内システムへ容易に接続
セキュリティ対策も考慮
社内システムにアクセスすることを想定したものも登場し始めた。
ユビキタス・ビジネステクノロジーの「MS2による、タブレット端末の基幹システム接続ソリューション」は、各種端末や社内システムを容易に接続できる点を売りにする。独自のミドルウェア「MS2」をクラウド上に配備し、通信事業者や端末の種類を問わず接続できるほか、社内システムとの接続にはIBMの「WebSphere Cast Iron」を用意。連携するためのプログラムを開発せずに主要システムと連携させることが可能だ。NTTアイティの「テレワーク/モバイルワーク・ソリューション」や、日立ビジネスソリューションの「DoMobile ASPサービス」は、タブレットから自席のPCを遠隔操作するアプリだ。VPNやデータの暗号化、端末認証などを活用することで、セキュリティにも配慮する。
そのほか、ベーシックの「B-Link IPCC for Android」は、ネットワークの種類を自動識別し、利用可能なアプリを動的に切り替えられる。個人所有の端末を業務利用する「BYOD」を想定し、社内向けの回線に接続中の場合は、特定の業務アプリしか起動できないよう制御できる。 (折川)
表 主要なAndroid搭載タブレット向けアプリケーション一覧
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