前回は、組織に属していた人がそれまでの経験を生かして起業するスピンアウトについて報告した。今回は、ビジネス経験のない若手起業家を支援するインキュベーション活動についてお伝えする。
どんなに賢くて良いアイデアを持っていても、学校を卒業したばかり、あるいはドロップアウトした若者がすぐに起業するのは難しい。まずぶつかるのが、資金の壁である。確かに、シリコンバレーには多数のベンチャーキャピタル(VC)と個人投資家(エンジェル)がいる。しかし、余程しっかりしたビジネスプランを持っていかないと、彼らは相手にしてくれない。
そこで、VCやエンジェルに代わって優れたビジネスアイデアに小口の投資を実施するのがインキュベータである。アイデアはあるがビジネス経験のない若者を“孵化(インキュベート)”させる役割を担う。
インキュベータの業務はこうだ。インターネットを通じてビジネスアイデアを募集し、一次選考を通過したアイデアを一堂に集めて「デモデイ(Demo Day)」と呼ぶ発表会を行う。このデモデイで厳正な審査を行い、優れたビジネスプランを選出。その応募者たちにシードマネー(元手となる資金)を投資する。
資金だけではない。スタートアップ企業の創業者やCEOがメンター(指導者、助言者)となり、ビジネスプランを磨き上げるためのセミナーやワークショップを施す。会社設立や特許取得などに必要な法務手続きの指導や、ベンチャーキャピタルとの縁結びも手がける。金の卵からヒナがかえるのを、まさに手取り足取り支えるというわけだ。
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