経営に貢献するCIO/IT部門を目指して─あるCFOの取り組みからの考察
2015年4月30日(木)CIO賢人倶楽部
「CIO賢人倶楽部」は、企業における情報システムの取り込みの重要性に鑑みて、CIO(Chief Information Officer:最高情報責任者)同士の意見交換や知見を共有し相互に支援しているコミュニティです。IT Leadersは、その趣旨に賛同し、オブザーバとして参加しています。同倶楽部のメンバーによるリレーコラムの転載許可をいただきました。順次、ご紹介していきます。今回は、KPMGコンサルティングの立川智也氏のオピニオンです。
2014年9月から私はCIO賢人倶楽部の倶楽部活動の事務局を担当させて頂いている。倶楽部活動はエキサイティングだ。そこには、非日常の世界がある。様々な業界のリーディングカンパニーで修羅場をくぐって来たCIOが、一同に会するのである。教科書的な発言はなく、皆が本音で語る。本当に沢山の刺激を頂いている。この活動を通して、倶楽部の設立趣旨である「CIOの地位向上と企業経営への貢献」に寄与したい。
私は、監査法人を母体とするコンサルティング会社に在籍していることから、CFOとの接点が多い。彼らは経営トップの右腕としていかに経営に貢献するかを常に考えている。先日、あるCFOから、そのための工夫を聞く機会があった。そのCFOは配下にコントローラーという役職を配置したのだという。
コントローラーは大きく2つの役割を担っており、1つは事業部門が利益目標を達成できるよう、ファイナンスの視点からアドバイスすること。事業部門を後押しする、アクセルの役割を担う。もう1つはコンプライアンス違反のないよう、事業部門の行き過ぎを牽制することである。こちらはブレーキの役割と言える。
このCFOは、コントローラーを、具体的にどのように活用しているのだろうか。多くの会社では、利益目標の達成は事業部門に任せ、経理部門は集計するだけである。この会社では、CFOの指示のもと、コントローラーが事業部門の現場を回り、重要な会議に同席し、ファイナンスの視点から課題や対応策を事業部門長へ報告し、アドバイスするという。CFO自らは全社を俯瞰しながら、事業部門の参謀役としてコントローラーを現場に放ち、操ることによって経営に貢献しているのである。鵜飼いにおける鵜匠と鵜の関係だ。
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