国内企業のIT部門が、2011年度に重点投資する分野はどこか。それを明らかにするべく、ガートナーは国内に拠点を置く企業や組織のIT部門のマネジャークラス向けに投資動向調査を実施した。その結果を見ると、サーバー仮想化や業務アプリケーション、モバイルへの投資が活性化しそうだ。
片山 博之ガートナー ジャパン リサーチ部門
ITデマンド・リサーチ
リサーチ ディレクター
米国発のレポートに基づいてITに関する最新動向を伝えている本コラムだが、今回はいつもと趣向を変え、国内企業のIT部門が2011年度に重点投資しようとする分野を見ていく。
ガートナージャパンが調査した結果、2011年度におけるIT部門の新規・追加投資の重点分野になると考えるのは、(1)サーバー仮想化、(2)業務アプリケーション、(3)モバイル環境の整備、の3つだ。2008年と2009年に実施した同様の調査結果と比較すると、投資を強化すると回答した企業の割合は、サーバー仮想化が11%→17%→19%、業務アプリケーションの導入が14%→15%→17%、モバイル環境の整備が6%→5%→10%と推移している(数値は2008年調査→09年調査→10年調査の順番)。以下、それぞれの背景について見ていこう。
サーバー仮想化
適用台数の拡大が進む
ハードウェア購入・保守費用や消費電力といったインフラコストの削減手段として、一定の評価を得ているサーバー仮想化。従業員2000人以上の国内企業で見ると、実に7割近くが導入済みという結果にある。
それでもさらに投資意欲が拡大している背景には、仮想化技術の適用範囲がまだ一部にとどまる企業が多いことが挙げられる。部門単位や検証目的での導入がほとんどで、全物理サーバーに占めるサーバー仮想化の適用率で見ると、2000人以上の企業の場合で全体の5%に過ぎない。2011年度は、サーバー仮想化の新規導入だけでなく、サーバー仮想化の適用対象の拡大が急速に進むと考えられる。
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