2011年、スティーブ・ジョブス、デニス・リッチー、ジョン・マッカーシーというITの巨星3人が相次いで他界した。一方、ジェフ・ベゾスやマ−ク・ザッカ—バーグといった次世代のリーダーが生まれている。米国IT業界の2011年を振り返りつつ、2012年を予測しよう。
3年前のリーマンショックは、シリコンバレーのビジネスに少なからず影響を与えた。失業率が増大し、ベンチャーキャピタル(VC)投資は減少。住宅価格も下落した。
しかし、2011年後半ごろからようやく、シリコンバレーの景気は回復に向かい始めた。失業率は下降に転じ、就業人口は82万人を超えた(図1)。筆者の知る当地のIT企業は今や、軒並み技術者不足を訴えている。
ベンチャー企業のIPO(株式公開)も増加している。2011年は特に、ソーシャルネットワーキング(SNS)企業のIPOが目立った。主なものを表1に示す。このなかでも最も注目を集めたのは、ビジネスパーソン向けSNSを運営するLinkedInのIPOだろう。IPO当日、LinkdIn株についた初値は10ドルだった。ところが、その日のうちに45ドルまで跳ね上がり、同社は3億5280万ドルを調達した。このほか、IPOによる調達額の規模では、オンラインゲーム会社であるZyngaの10億ドルが目を引く。もう1つ、シリコンバレー企業ではないが、Groupon(本社シカゴ)のIPOも大きな話題になった。
2012年、IPOを果たすと見られるベンチャーの最右翼は、なんといってもFacebookだ。同社は2004年に創業して以来、VCやMicrosoftなどから23億4千万ドルの投資を受けた。その間、サービス会員は7億5000万人に膨れ上がった。現在、約3000人いる社員は、2012年中に1万人を超える見通しだ。
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