米ガートナーがエンタープライズITの“第3の時代”として提唱するデジタライゼーション。しかしながら、同社の年次CIO調査結果によれば、世界各国のCIOの多くが自組織においてデジタライゼーション時代への準備が整っていないと認識しているようです。デジタライゼーションといういささか分かりにくい概念を再確認しつつ、同調査の概要をお伝えします。
紹介する調査は、市場調査会社のガートナーが、同社のガートナー・エグゼクティブ・プログラム(EXP)に参加する世界各国のCIOを対象に実施した2014年度版のCIO Agenda Surveyです。ガートナーは同調査のハイライトとして、回答者中51%のCIOが「デジタライゼーションの波の速さに対応できない」という不安を感じ、42%が「デジタライゼーションの未来に立ち向かうために必要な人材が足りていない」と認識していることを伝えています。
あらためて、デジタライゼーションとは?
現時点では、多くのCIOにとって不安要素の1つでもあるデジタライゼーション。そもそも、デジタルというおなじみのカタカナ英語の意味にとらわれがちな私たち日本人にとって、なかなかに理解が難しい言葉でもあります。ガートナーの説明にのっとれば、デジタライゼーションとは、ITによる業務の自動化・効率化が加速した“第1の時代”、そこに信頼性や予測性、オープン性が加わり工業化が図られた“第2の時代”を経て、“第3の時代”に台頭した、情報のデジタル化とビジネス価値への転換というムーブメントを指しています。
同社によれば、デジタライゼーションという言葉はさらに、力の結節(Nexus of Forces:クラウド、モバイル、情報(ビッグデータ)、ソーシャルの4大技術の強固な結び付きのこと)や、モノのインターネット(IoT:Internet of Things)といった昨今の技術的・社会的なトレンドを背景に、ドラスティックな変革が各所で進展するさまも示しているようです。
こうしたデジタライゼーションの時代に競争優位を確保するにあたって、企業・組織のCEOには、デジタル・リーダーシップという新たな素養が必須で求められる―というのが以前からのガートナーの主張です。2014年版のCIO Agenda Surveyでは、「CEOのデジタルへの精通度が、ITとビジネスの両方のパフォーマンスを引き出す最善の指標の1つである」という提言がなされています。
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