クラウドコンピューティングがCIOの仕事を変える?―米エクストラ・スペース・ストレージのCIOの場合
2009年2月9日(月)CIO INSIGHT
「私は社長から、“より効率的なオペレーションを行うための方策を考えて欲しい”というミッションを受けている。その結果、毎日の業務時間の大半を調査に費やすようになった。現在では現場で何がどのように行われているのかを見てまわる時間が増えている。一方で、これまでのようにシステム開発に関わる会議に参加して、座ったまま何時間も費やすことは非常に少なくなった」(翻訳 : 古村 浩三)
これは米国で第2位の規模を持つ貸し倉庫業者(セルフストレージ)、エクストラ・スペース・ストレージでCIO(最高情報責任者)を務めているビル・ホーバン氏の言葉である。同社は現在、社内のIT資産をクラウドコンピューティングに移行させる計画に、意欲的に取り組んでいる。そのことがCIOであるホーバン氏の日々の業務と役割に大きな変化をもたらしているのだ。
全米に685拠点の倉庫と、40万人におよぶ顧客を擁する同社にとって、ITは欠かせないツールである。これまで同社はPOS(販売時点情報管理)ソフトウェアのASPサービスを利用して、業務を行ってきた。最近になってそれをSaaS形式のアプリケーションであるSalesforce.comへ移行。クラウドコンピューティングの世界に、大きく足を踏み入れつつある。「ネット接続可能な環境さえあれば、どこでもアプリケーションが稼働することは当社にとって重要だ」(ホーバン氏)。
米国ユタ州ソルトレイクシティーにあるエクストラ・スペース・ストレージの本社では、会計システムとして、会計パッケージの「Great Plains(2001年に米マイクロソフトが買収)」をサーバー・ホスティングにより運用している。ホーバン氏はGreat Plainsを破棄する具体的な計画は持っていないものの、すべてのアプリケーションをクラウドに移行するという戦略プランを目下作成中だ。「ITに関わる財務面での分析を行った上で、理にかなったものから実行していく」とホーバン氏は語る。
クラウドに移行することの影響は、単にITシステムの範疇だけにとどまらない。それが冒頭に示したホーバン氏の言葉に表れている。「私の業務スタイルは過去1年で様変わりした。物事に関して戦略的なアプローチができることを幸運に思っている」(同)。
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